1.東京駅

東京駅

完成間近の東京駅

1896年(明治29年)の第9回帝国会議で新橋と上野を結ぶ高架鉄道の建設が立案された。このとき、途中に中央停車場を建設する計画が可決された。この計画は日露戦争の影響で遅れるが、1914年(大正3年)12月14日に工事は完成。同時に中央停車場という呼び名は改められ、正式に東京駅と命名される。鉄道ターミナルを駅と呼ぶようになったのは東京駅開業がきっかけという。東京駅は丸の内口の中央に皇室専用貴賓出入口がつくられた。建設当時はまだまだ整備が十分といえなかった丸の内側に向けて建設されことも含め、この駅が国家の象徴的な位置づけであったことがわかる。また、駅の開業に合わせて、ヨーロピアンスタイルの東京ステーションホテルも開業した。丸の内地区ではビルが近代化されていく一方で、最大のネックは交通の整備だった。1900年代初頭、丸の内で利用できる交通機関は、日比谷-大手町間、日比谷-数寄屋橋間など近距離の市内電車だけで、通勤に必ずしも便利とはいえなかった。ところが、東京駅ができたことで「通勤」スタイルは良好になり、職住分離のワークスタイルが定着していくことになる。なお、東京駅の設計は、かの辰野金吾。赤煉瓦と白い石を組み合わせたルネッサンス様式の建物は、関東大震災にもほとんど無傷で、併設されるホテルでは多くの避難者を受け入れた。しかし、1945年(昭和20年)の空襲でドームは焼け落ち、戦後八角屋根の形で再建されたが、2012(平成24年)年10月に3階建ての元の姿に完全復原された。